ダダさんの「正しい」出雲弁講座                   サイトの歩き方」も参照してください。

「まーじ、まーじ、よぉ、おいでなされましたねぇ。みなさん、おまめにございましたか?」ご近所の顔見知りの人などが慶事仏事などで帰郷したり、夏休みなどに子供連れで帰省した折など、出雲の地では久しぶりに顔が会う人ごとに、このようなほのぼのとした挨拶が交わされます。これも、やはり長い時間が育んできた「文化」の一端なのだと思います。さて、過日、ひょんなことから出雲路を訪ねることがあり、ナマの出雲弁を久しぶりに耳にする機会にも恵まれ、中断していた出雲弁講座を久々に更新することにしました。冒頭の「まーじ」は「まず」「まんず」が更に訛ったもので、標準語に翻訳すれば「まあまあ、本当に」といったニュアンスになるでしょうか!

 母なる河・斐伊川の流れ(神立橋)

かつて山本夏彦さんが或るエッセイの中で、日本語の語彙の豊かさの例として夏目漱石の『坊ちゃん』を取り上げ、登場人物の一人が赤シャツ教頭を罵倒する「品の良くない」言葉の連発について語っていましたが、確かに今の世の中は、何か心の襞を微妙な言い回し、言葉遣いで表現する人がめっきりと減り、嬉しいにつけ悲しいにつけ、口にする言葉の数(質と言うべきでしょうか)も極端に乏しくなってきたように感じます。その意味で、まだ地方に根ざした生活をおくっている人々の会話には、言葉が本来持っている「温かみ」が少しは残されているように思うのです。

  なんと、そら、ほんに、まげな話だのぉ。
  そげにかけやかすと、まくれーよ。

この「まげ」は本来「結構な」「立派な」という意味で使われる言葉ですが、語源が一体どのあたりにあるものなのか、ちょっと見当がつきません。ただ「大きな」という意味の方言に「がいな」がありますから、そこから連想すれば「まことに、がいな」が約まった言葉なのかも知れません。ただ、この「まげ」は「まげに、まくれる」などといった使い方もされ、この場合には「派手に転んだ」という意になりますから「見栄えのする」といった意味合いがもともとあったのかも知れません。それでは、いつものように「ま」行の出雲言葉を表にしてみます。

 まい  まくれる  まげな   まじまじ  まめ
 みずいと   みたんげな   みゃー  みやすい
 むこげた  むこはち  むらさ
 めぐ  めげる  めご  めのは  めんたし
 もーはい  もしる  もそぷ  もちゃげる   もぶれさばる 

「まめ」は各地でも使われますからある種の共通語だと言っても差し支えないでしょう。勿論その意味は「元気・達者」です。「みずいと」は漢字で書けば「水糸」ですから「釣り糸」と分かりますが「みたんげな」は少し訛りが入っています。実際には「みたんない」と云う使われた方をする場合が多いと思うのですが、これは「醜い」「不細工」の意です。そして、そこから「不名誉な」「恥ずかしい」といったニュアンスも含めて、誰かの行為などを否定的に表現するときにも使われたりします。例えば「なんと、みたんない話しだの」と言えば、その話題の中心になっている人物の行為は勿論、人柄も含めて否定されるわけです。また、例文としては上げませんでしたが、表の最初にある「まい」は踊りのことではありません。これには二通りの意味があり「美味い」と「上手」という意になります。

  そこの道板、むこげたまで、もそんでごすだわ。はや、はや。
  昨日ごされたに、もーはいめがかしたかね

「もそぶ」は「持ち運ぶ・運ぶ」の意味ですが、恐らく「持つ」「運ぶ」が一つになったものだと思われます。また「むこげた」は「向こう側」の「端」ということで、やや「難解」な部類に入る言葉かも知れません。ただ、本来は一般的にも使われる「橋げた」などの「けた」と関係があるとも考えられます。「もーはい」は比較的分りやすい?と思うのですが…、皆さん如何でしょうか?正解は「最早」がなまったもので「もう、こんなに早く」と云うニュアンスの言葉で、続く「めがかす」は「壊す」の意です。原型は「めぐ」で、壊れるが「めげる」となります。あの「メゲル」ではありません、念のため。

海水の青さが、とても印象的でした

このコーナーではありませんが、出雲の神様について妄想に近い内容のものを書いているページがあります。方言だけではなく、出雲の神話、オオクニヌシそしてスサノオなど、大昔に活躍されたカミサマたちに興味のある方は、そちらの方も一度覗いてみてください。上にある画像は、オオクニヌシの棲家だとされる出雲大社から、もう少し日本海寄りにある日御碕に向かう道から見た海の風景です。大きな岩がごろごろしていますが、かつて、カミサマたちも、この海原の彼方から、ワニに乗って渡ってこられたのかも知れません。

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