「戦後」の昭和とテレビ…、そして今                       サイトの歩き方」も参照してください。

戦後の昭和を、そしてなにより管理人たち、所謂『団塊の世代』と呼ばれる年代層の、子供時代としての「昭和」を語ろうとするなら、テレビの話題を抜きにしては話しが前に進みません。生まれた時既にテレビの受像機があり、衛星放送を通じて世界の時空間を共有しながら、自前のパソコンを駆使して世界へ「情報」を発信できる−−という平成人には『テレビの無い生活、家庭』というものが想像できないかも知れませんが、昭和20年代から30年代初めの日本は、正に、そんな時代だったのです。さて、そこで登場して頂くのが小林さんなのですが…。

テレビは魔法の玉手箱? 昭和の居間  人気の玩具・鉄人28号など

今『小林さん』などと、如何にも気安く、ご近所づきあいでもしている近隣の方のようにお名前を呼びましたが、一面識有る訳でもありません。そして、ここが中原中也のサイトということで、この「小林さん」は、てっきり、あの著名な評論家・小林秀雄の事だと早合点なさった貴方、間違っています。更に又、このサイトの中でも極々マイナーな部分に属する「雑文コーナー」を読み、この「小林さん」は、あの歌う大スター・小林旭だと思った方も、残念ながら推理の的が相当外れております。

作家であり評論家でもある小林信彦(こばやし・のぶひこ)が東京・両国にあった和菓子の老舗・立花屋の長男として産まれたのは昭和七年のことで、ミステリィ雑誌の編集者を務めながら草創期のテレビ業界に番組の構成作家として深く関わり、日本のテレビ業界発展の有様を内側から少し斜めに見てきた彼が『テレビの黄金時代』(文春文庫、平成17年11月刊)という著作の中で、

  それは(テレビの黄金時代は)「若い季節」「夢で逢いましょう」「シャボン玉ホリデー」……「七人の刑事

  が始まった1961年、あるいは、これらに「てなもんや三度笠」などが加わった1962年あたりを始めとする

のが「妥当と考え」られ、

  黄金時代の終わりはいつかと考えると、1972,3年

と「考えてよい」と思われる、と明言しているのですが、肯けます。小学校時代、テレビの無い家で育った管理人が、初めてテレビ画像を見たのは恐らく昭和34年4月の皇太子(今の天皇)成婚パレードだったと思うのですが、上述の番組は正に「定番」とでもいうべきもので、毎週欠かさずチャンネルを合わせたものです。(この辺りの詳しい事情は別のページでもご紹介していますから、興味のある方は覗いてみてください)ある事情から、思春期と呼ばれる時期に、山陰の小さな町で暮らすことになった管理人にとって、部屋に置かれた小さなテレビは『己が帰るべき都会』の情報をもたらす玉手箱であり、家に居ながらにして娯楽を享受することが出来る便利なオモチャ箱だったのです。今では「伝説」となった数々の有名番組で活躍する出演者たちは−−憧れでした。トランペットへのめり込んだのもTVの存在が大きかったのかも知れません。

テレビの黄金時代は1962年から約10年間

そんな小林信彦が書いた小説との出会いが『オヨヨ』シリーズだったのか、それとも『唐獅子』シリーズだったのかは覚えていないのですが、とにかく読んだ感想は「おもろい」の一言で、書店の棚に並んでいた数冊の作品を買い求めて読みふけったものです。冷静な観察眼と綿密な筋書き・ストーリーの面白さが小林作品の根底にあると思うのですが、都会人特有の、と云うか伝統的な文化を背景にした環境の中で育った者だけが身につけることの出来る洗練された意識・感覚に裏打ちされた「おかしさ」、パロディの形を借りた反骨精神、批評眼の正しさ・正確さが読者の頭脳の奥深い部分を「くすぐる」のでしょう。管理人は、ほぼ同世代の作家である開高健と小林を「おもろい物書き二人組」として勝手に応援し、新しい作品が出版されるのを心待ちにしていたものです。昭和53年春に発表された『唐獅子株式会社』は、みょうちきりんな大阪弁(恐らく、汚らしく誇張された際物的な大阪弁を批判する意味を含めてオカシイ)が光る名作です、是非、一度お試しあれ。

このコーナーが「正しい昭和」史を標榜している以上、いつかは小林信彦に触れなければと思っていたのですが、なかなか書けずにいました。テレビのことを正確に書くだけの資料を集めるだけでも「大変」な作業になることが分っていたからで、ついつい二の足を踏んでいたのです。でも、小林さんの『テレビの黄金時代』が文庫で発刊されましたから、TV業界の内幕、そして黄金時代の歩み、更には主な番組の作家・出演者などの詳細については、この本を参考にしてください。戦後の昭和が、テレビと共に、どのように変貌を遂げたのか、分るはず…です。

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