日本一の責任「男」植木等                            サイトの歩き方」も参照してください。

昭和を代表する人物、と言えば各界各分野にそれぞれ沢山いるのだろうが、昭和に生まれ・昭和を生きたこと自体が「代表」とするに相応しい必要十分条件であるならば、差し詰め、この男は正に昭和の申し子だと言って良い。なにせ昭和元年(1926)の生まれである。(どういう訳か知らないが、デビュー当初、彼は何故か翌年夏の生まれだと言っていた。若い女性が歳を訊かれ二つ三つサバを読むのは分らなくもないが、それも半年だけというのも珍しい…)

植木とハナの「絡み」は絶妙だった。 

大阪にある(正確には『かつて、在った』)発行部数10万部にも満たない小さな夕刊紙の編集室の一角に間借りをしながら、広告とも記事とも俄かには判別のし辛い、多分に読者を戸惑わせるような「企画」特集の片棒を担ぎ、日々、府内にある学校や企業そして施設などの「取材」に明け暮れしていた頃、出会いは唐突にやってきた。ほとんど人気が消えた夕暮れ時、編集部の部屋に静かに入ってきたその男は、芸能担当の記者たちに礼儀正しく挨拶をして回り、勧められてソファに腰を下ろし茶をすすった。太く低い声の持ち主は十分ばかり雑談を交わした後、また、丁寧に挨拶をしてから編集部を後にした。舞台以外で彼を見たのは、それっきりのことであった。白いブレザースーツに鳥打帽を被っていたように記憶している。人気が無くなり始めてから、かなりの時間が経っていた。

大阪キタには幾つかの劇場・ホールがあり、それぞれが特色或る企画を打ち出し集客に腐心していたが、東宝系KM劇場の夏興行は、彼が所属しているグループが「主役」を務める恒例となっていた。それが一体何時からの事なのか、例によって不明ですが…、終焉も突然訪れたのです。或る年の夏、いつものように「前売り」を買おうと劇場の入り口まで足を運んで見たのだが、8月の興行予定表に彼らの名前が見当たらない。券売所の売り子に尋ねても『うちらには難しいこと分らへん』『もお、けえへんのとちゃうかなぁ』と頼りない返事しか返ってこなかった。

番組では多彩なゲストが個性(芸)を競い合った。 PR

お寺の三男坊として三重で生まれた植木等が、初めからハナ肇(1930〜1993)のコミックバンド「クレイジーキャッツ」のメンバーだった訳ではない。何でも器用にこなすフランキー堺(1929〜1996)のグループが解散したあおりで1957年からメンバーに加わったのだが、草創期のTV番組が彼らを一気にメジャーに育て上げた。その代表格が『大人の漫画』(1959年〜)、『シャボン玉ホリデー』(1961年〜)だった。特に61年の6月から足掛け13年、600回余も続いた「シャボン玉」はクレイジーの面々の人気をゆるぎないものにしたと言える。この61年、つまり昭和36年という年は、あのNHKも『夢で逢いましょう』というバラエティ番組を放送していた年でもあり、年配の人たちにとって思い出深い年なのではないか、と思います。坂本九(1941〜1965)が大ヒット『上を向いて歩こう』を歌った同じ昭和36年に植木たちのミリオンヒット『スーダラ節』も発売されているのです。「シャボン玉」の脚本を担当していたのが青島幸男、景山民夫、河野洋そして前田武彦といった陣容でした。(因みに、シャボン玉の主人公、ザ・ピーナッツの二人は坂本九と同い年です)

小首を傾げて挨拶するのが中島のクセでした。

昭和39年、東海道に新幹線が登場、東京オリンピックが開かれる直前のお話ですが、ほぼ一世代上の彼らが世間で言われるほど『シー調』だとは感じていませんでした。それよりも「楽器を使いこなせる芸達者」たちという見方が強かったように思ったのは、こちらの側に音楽分野への関心があったからなのでしょう。また、彼らの演ずる一つ一つの「個性」が、色々な理屈を抜きにして「楽しい」ものだったと言えます。ともかく面白い存在だったのです。また、NHKの『夢で逢いましょう』も秀でた個性が真剣にぶつかり合う興味深い番組でした。司会の中島弘子がデザイナーであり、音楽を中村八大(なかむら・はちだい,1931〜1991)が、構成を永六輔(えい・ろくすけ,1933生まれ)が担当していたのですが、民放とNHKの人気バラエティ番組を支えていた植木と永の二人が、いずれも僧侶の子息であったことは、何か「因縁」めいた感じすら与えます。

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